深川町風景(灌漑溝・浣漑工)

企業系
深川町風景其十 深川浣漑工揚水器場の景

【概要】

北海道で開拓期に展開された、大規模な水田づくり。その安定的実現のためには、計画的に灌漑を造って水田に水を廻らせることが重要でした。各地で水田土功組合や灌漑溝組合が結成され行政の補助金の受け皿となり、北海道のいろいろな場所で水田が出現します。その成否はケースバイケースだったようですが、こうした「造田ブーム」が北海道移住や北海道農業を進展させたことは相違ないでしょう。

第一次大戦の好景気、またその後の米騒動による「造田ブーム」がありました。深川ではそれに先立って明治42年に深川土功組合が結成され、大正時代には石狩川から取水する「大正用水」を完成させ時代をリードしていました。系譜は現代の深川土地改良区に継承されています。

実はこうした土功組合や灌漑溝組合は、その組合費で記念絵葉書を作成するケースが散見されます。水田ができた時、あるいは灌漑工事が完了した際に記念に作成する傾向があるようです。この「深川町風景」とタイトルの付いた絵葉書もその一つと考えられ、石狩川水系の水田の歴史を絵葉書は伝えています。

なお数字が全て揃っていないので、他は市街地の写真などが含まれていたかもしれません。またここでは「浣漑工」とキャプションが施されていますがあまりこの表現は用例がないと感じます。おそらく「灌漑溝」に通ずる表現なのだろうと思います。

【内容】4枚

深川町風景深川浣漑工鉄筋コンクリト隧道出口/深川町風景其七 深川浣漑工水源道水門/深川町風景其九 深川浣漑工第一号暗橋/深川町風景其十 深川浣漑工揚水器場の景

【撮影・作成年代】大正7(1918)年~昭和8(1933)年

通信欄の罫線が宛名面の2分の1の位置にある点、右から「郵便はかき」の表記のため。

【作成】

浅野書房 撮影は更谷氏

浅野書房は、現在書店・事務用品文房具店を展開する浅野商事として現役。

コメント