有限責任高香繭糸販売組合 落成記念 絵葉書

企業系
繰糸場一部

【概要】

高知県香美郡にあった組合化した製糸工場の落成記念絵葉書です。製糸業はある程度大規模化することで効率化が図られ、コストダウンも可能になります。ここでは地域の人々が出資し製糸工場を建造した様子が窺えます。

絵葉書中の製糸器械をちょっと、詳しく見てみましょう。工女さんたちは手元の繭を繰って糸にしていきます。エンジンで器械に動力を伝え、一定の回転で女工さんが繰った糸を巻いていきます。女工さんの後方にある繰り枠は4つかな? 5つかな? なかには6条繰っている人もいそうです。この条数は、女工さんが煮繭と繰糸を兼ねて作業するか、あるいは分業して繰糸だけを行うかで変わってきます。ちいきは異なりますが、諏訪地方では、4条繰りまでは煮繭と繰糸を兼ねて行ない、それ以上は煮繭は別のところでやって、桶に入れて繰糸を行なう女工さんのとこまで持って行ったそうです。さてこの絵葉書では煮繭は桶に入っていますし、中央奥から桶で運搬している様子もわかります。製糸業の技術進展がだいぶ進んだ時期の工場の様子が伺えます。

【内容】袋紙1、絵葉書5

全景/背面/正門/再繰部及び束装部一部/繰糸場一部

【撮影・作成年代】大正7(1918)年~昭和8(1933)年(昭和4年6月か)

通信欄の罫線が宛名面の2分の1の位置にある点、右から「郵便はかき」の表記のため。国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧した『全国工場通覧 昭和6年9月』(商工省、1931)57ページによると、昭和4年6月開業とのこと。

【作成】高香繭糸販売組合

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