【概要】
北海道帯広市は十勝地方に所在し、明治20年代から都市造成が始まりました。明治30年代になると本州からの移民を受け入れ、本格的に十勝の中心都市として成長していきます。大正時代には農業を基幹とする地域社会が形成され、絵葉書が作成されたと想定される昭和初期には観光業や娯楽も一応の成立を見、人々の関心は周囲の自然景観や地域の特徴に次第に向けられるようになりました。
この絵葉書には、帯広の都市からやや離れた場所の景観が記録されています。十勝平野の持つ景色の雄大さが発見されつつあったのでしょう。現代に至るまでの地域の自意識、地域のPRポイントの濫觴を絵葉書から読み取れそうです。
【内容】包紙1、絵葉書10
帯広附近耕地ヨリ市街遠望/帯広近郊音更開墾道路/帯広近郊馬牧場/帯広近郊牛牧場/十勝仙境然別沼(其二)←その1は見当たりません/帯広近郊の水田(其一)/帯広近郊の水田(其二)/十勝広尾港の遠望/十勝の厳寒落葉松の氷花/十勝国上士幌の白樺林
【撮影・作成年代】昭和8(1933)年以降~
宛名面の表記が右から「郵便はがき」のため。ただし、昭和4年竣工の広築港近代化の様子が全く見られませんので、写真自体は昭和8年より遡る可能性があります。
【作成】吉田栄陽堂
帯広で文房具など文化雑貨を扱ったお店。古くから広小路に店舗を構え、未だ現役。現在は音楽ショップとなっている。
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