【概要】
梁(やな)は河川に木や竹を組んで魚を捕まえる仕組みです。川の水は通すけれども魚は通さない、みたいな装置です。房島は現在の岐阜県揖斐川町にある簗場で、中近世以来為政者に貢物を献上してきた(その見返りに漁業権を得る)由緒ある土地です。江戸時代には運上梁とも呼ばれていたようで、幕府への上納金を収めていました。また近代に入ってからは皇室に鮎を献上したこともあるようです。
この絵葉書でも包み紙は「房島梁」とありますが、絵葉書内部の説明キャプションには「運上梁」とあります。どちらでも通用していたのでしょう。
そんな房島梁。現代でも近くで運上館というお店が営業しており、鮎を食べにいけるようです。ウェブサイトを見ると本当に美味しそうです。実は揖斐川町には出張で一度行ったことがあるのですが、仕事先が坂内地区で、揖斐川の本町のあたりは通過してしまいました。こんな良いところがあったとは絵葉書をゲットするまで知らず、今度はぜひ行ってみたいと思っています。
こうした伝統的な漁法を、絵葉書の時代も、令和の時代も、いつかの未来も、ずっと続けられていくことを祈念しています。
【内容】包紙1、絵葉書3枚1セット
運上梁其一~其三
【説明文の試訳】
其一:慶長年間の領主西尾光教(豊後守)が創設し、寛政年間に現在地に移った。獲れる鮎は毎年宮内庁がお買い上げになるという栄誉に浴している。
其二:房島梁は美濃九景の一つで、風向眺望がよく、たまたま増水の際は梁に落ちる魚が特に多い。
其三:房島梁では毎年七月一日より十月十五日まで、特に天気が良く秋風の吹くときは年魚(鮎)は群れをなして流れ落ちてくる。これを捕らえて池で飼って需要に応えている。
【撮影・作成年代】明治40年4月~大正7年(1918)3月まで
通信欄の罫線が宛名面の3分の1の位置にあるため。
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