【概要】
伊豆大島の人々の営みがわかる絵葉書。もともとの持ち主は昭和10年8月4日にこの地を訪れたことが旅館の日付スタンプからわかります。
港の風景の他、二人の女性が案内人になり、二人の服装含め伊豆大島の風俗を伝えています。もしかしたら、写真絵葉書にするのですから、服装はちょっと日常のそれよりもめかしこんでいるかもしれません。
伊豆大島で働くこうした女性は「姉っこ」から転訛したと考えられる「あんこ」と呼ばれていました。旅行者が次第に「あんこ」たちの働く姿に注目するようになり、文人たちの記録にも登場します。そして昭和初期には三原山登山道の茶屋でのおもてなしをこの装束で行うようになり、島の象徴的なイメージへと成長していきました。絵葉書に押されたスタンプのある昭和10年はそんな時代で、「あんこ」たちが旅の象徴として、大島の生活を紹介するような構成の絵葉書ができたわけです。
現在、こうした「あんこ」文化を後世に伝える動きが大島であるようです。大島の観光ナビゲーションサイト「伊豆大島ナビ」に紹介記事があり、また「伊豆大島アンコ文化保存協会」も活動されているそうです。
大島では明治中期から酪農が始まり、バターなど乳製品を東京などへ産出していました。他、火山が形成した広漠とした砂漠にはラクダが。昭和初期にゴビ砂漠から連れてきたそうです。観光誘致に気合が入っています。
【内容】包紙あり、6枚1セット
題なし5枚(船の前で撮影した写真、頭上運搬の写真、ラクダの写真、ホルスタインと写った写真、砂浜での写真)/岡田港景色/波浮港
【撮影・作成年代】昭和8(1933)年以降、スタンプは昭和10年8月4日
宛名面の表記が右から「郵便はがき」のため昭和8年以降。
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