【概要】
加賀温泉郷の一角、山中温泉。「よしのや」は大変古い由緒を持つ旅館で、鎌倉時代に能登国鳳至郡の地頭職に補任された長谷部信連が、部下に湯壺を守らせたうちの一つであると語られています。由緒800年を標榜する山中温泉は近世には松尾芭蕉が逗留したことでも知られます。「よしのや」は近代に入っても声望を集め、明治18年(1885年)に、近代書の父と評される書家・日下部鳴鶴(くさかべめいかく)によって「依緑園」と命名されます。これ以降も文人や政治家が相次いで逗留し、山中温泉随一の旅館として栄えました。
1963年には元総理大臣の吉田茂が佐藤栄作、三木武夫を伴い、山中温泉一の高級旅館よしのや依緑園の別荘に逗留。池田勇人の次の総理大臣を佐藤栄作とする、という密談をしたと語り継がれています。
ところがバブル崩壊後は経営が低迷し、2008年に破産の手続きが取られてしまいます。しかし2010年、関西で温泉旅館を経営する「湯快リゾート」が「よしのや」を継承しリブランディング。由緒を現代に紡いでいます。
このパターン、どこかでみたことあると思ったのですが、近くの片山津温泉の矢田屋と同じパターンです。経営難の歴史ある旅館の名を、「湯快リゾート」が継承するという流れ。「湯快リゾート」の経営戦略、あるいは歴史を継いでいこうとする意気を感じさせます。
【内容】3枚
客室より見たる渓谷美/客室/大宴会場
【撮影・作成年代推定】大正7(1918)年~昭和8(1933)年
通信欄の罫線が宛名面の2分の1の位置にある点、右から「郵便はかき」の表記から判断。
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