【概要】
伊豆半島に数多くある温泉街の一角を占める伊東温泉の戦前絵葉書です。ライバルが多い温泉地ですが、今も昔も多くの旅行客を受け入れています。絵葉書の中で重要な点は、自動車が走行可能な立派な道路が収められている点です。この地に伊東線という鉄道線が走るのは昭和13年。旅行客に気軽に来てもらうには、舟運のほか、険峻な伊豆半島にしっかりとした道路を通す必要がありました。道路造成の進歩とともに温泉街に多くの人が訪れ、こうした絵葉書がたくさん世に残されるようになったのでしょう。
絵葉書は全体に青を基調とし雰囲気を作っています。かっこいいです。
最近youtubeで外国の方向けの伊東温泉のコマーシャル動画を見かけました。絵葉書にある潮吹岩が一瞬出てきたりと、見どころをバキバキの高画質でしかも外国の方が関心を向けそうな構成で動画を作成しており、地域の戦略をうかがえます。道路がキー・ポイントになった100年前。アフターコロナを見据えてインバウンドを求める現代。ライバルが多い温泉街ゆえの試行錯誤の歴史も、連綿と続いていくのでしょう。
【内容】包紙1、絵葉書8
伊東熱海間県道の風光/新井港/大河橋上より見たる石手島の遠望/神浦の奇岩/潮吹岩/松月院/伊豆伊東温泉場全景/一碧湖
【撮影・作成年代推定】大正7(1918)年~昭和8(1933)年
通信欄の罫線が宛名面の2分の1の位置にある点、右から「郵便はかき」の表記で昭和8(1933)年が下限と推定。
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